活動記事:セミナーレポート
JPRSI 2024年度年次総会/
第3回セミナー 「COP29特集」
イベント名 | JPRSI 2024年度年次総会/第3回セミナー「COP特集」 |
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開催日 | 2024年9月12日 16時~18時30分 |
開催方法 | 東京都内にて対面開催 |
概要 | 本総会/セミナーは2020年JPRSI設立以来、初の対面開催となりました。JPRSI会員間や環境省担当官とのコミュニケーションの場として名刺交換&交流会も実施し、参加者間のネットワーキングが促進されました。 年次総会では、昨年度のJPRSI活動の振返りと今後の活動計画を報告しました。 セミナーでは、11月に開催されるCOP29に焦点を当て、環境省担当官や有識者より、国際交渉のポイントや脱炭素化の潮流とビジネスへの影響等の注目点等について説明がありました。 セミナー登壇者情報については、下記「関連資料」ページをご覧ください。 |
関連資料 | https://jprsi.go.jp/ja/static/activity-archive/2024/r6_seminar5_report |
イベントの様子ⅰ
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特別講演・世界の脱炭素化とファイナンス |
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会場参加者から熱心な質問が寄せられた |
COP29における国際交渉のポイントや潮流、ビジネスへの影響
環境省地球環境局長からの「情報提供等を通じてJPRSI会員と連携して環境インフラの海外展開を進めていきたい」との挨拶に引続き、11月にアゼルバイジャン共和国バクーで開催される国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)に関連し、国際交渉や議論のポイント、世界的な脱炭素化とファイナンスの潮流について説明されました。また、COP29に出展を予定している企業から気候変動に対する取組が紹介されました。
[特別講演] 世界の脱炭素化とファイナンス~COPでの議論・日本の政策動向等について~
世界の気候ファイナンスの動向やCOP29に向けた注目点が紹介され、世界の脱炭素化の潮流を追うにはCOPのホスト国の打ち出すイニシアチブに注目すべきとの説明がありました。
どの分野に資金が流れるのかを実感したCOP28に引き続き、COP29はファイナンスのCOPと呼ばれていること、インパクトのある資金の使いかたをするには事業立上げステージに応じて官民で役割を分担して資金提供するブレンデッドファイナンスが有効であることが説明され、GX推進機構が民間では取れないリスクをカバーする役割を持つことが紹介されました。また、カーボンクレジット市場分野の動きに注目すべきとの説明があり、2026年本格導入予定のGX-ETS(排出量取引)制度が説明されました。
COP29における議論・交渉のポイント
パリ協定の下では、各国が自主的に提出する温室効果ガス削減目標(NDC)や、その進捗状況を報告する隔年透明性報告書(BTR)、全体的な進展を評価するグローバル・ストックテイク(GST)の3つがサイクルとして回ることになっており、それらがこの2、3年で全部回ってくるとの説明がありました。日本政府による支援方法としても、単純に資金を供給するだけではなく、BTRを出せるようにする支援等をパッケージで行っていることが紹介されました。各国のNDCを足してもパリ協定の目標には足りないことから、取組を加速するための投資拡大の流れはもはや止まらない流れだろうとの説明がありました。
COP29の焦点は、候資金目標設定、グローバルストックテイクを踏まえた次期NDCの議論、そしてカーボンクレジットに関連しパリ協定6条運用を可能にするルール合意であることが示されました。また、各国が情報発信のために設置するパビリオンの中で、技術を分かりやすく展示するジャパン・パビリオンは非常に好評で、メディアにも幅広く取り上げられているとの説明がありました。COP自体の議論の幅の広がりに呼応して、COP29のジャパン・パビリオンも非常にバラエティに富む内容となることが紹介され、バーチャル展示への応募への呼びかけがありました。
COP29出展企業の気候変動への取組・技術紹介
日立製作所からは、企業PRビデオでの事業紹介に引き続き、環境課題への取組は、社会環境改善だけではなく事業成長にもつながるとの考え方から、3年前の中期経営計画策定時に、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現することを会社の目標とし、事業に取り組んでいるところである、と説明がありました。
COP28での技術展示では、脱炭素だけにとどまらずサーキュラーなどの環境課題への幅広い取り組みを紹介するため、再生可能エネルギーの開発を支える高圧直流送電システム、EVバス輸送に対応した高速充電システム、リユースEVバッテリーを活用した蓄電システムを紹介したことが示されました。COP29では、「適応」分野の製品であるAIを活用した洪水シミュレーターや分散型データセンター制御について展示予定であることが紹介されました。
意見交換
ファイナンスがどのように脱炭素に貢献するのか、日本が持続的な利益を生み出すための課題、日本の環境インフラ輸出の競合優位性、脱炭素技術の輸出に対して他国との連携・競争がもたらす影響、発展途上国に対する多面的な支援にむけた官民連携の具体的動き等をめぐって、活発な議論が繰り広げられました。
過年度のJPRSI活動・今後の活動について
環境省より、日本企業の環境技術の海外展開を官民連携で支援するプラットフォームとしてのJPRSIの活動が紹介されました。JPRSI活動の3要素は、会員向け情報発信、海外向けの会員情報発信、海外での具体的案件形成に向けた支援であるとの説明がありました。具体的には、会員向け情報発信面ではセミナー開催とメールマガジン配信、海外向け発信面ではウェブサイト上の企業展示ブースと環境技術リスト、案件形成支援面ではビジネスマッチングセミナーの開催と各国大使館への環境省出向者による支援であることが紹介されました。
交流会
今回の年次総会/セミナーは、2020年JPRSI設立以来初の対面開催の運びとなり、JPRSI会員間や環境省担当官との貴重なコミュニケーション機会を提供できました。参加者が集まらないのではないかとの懸念を吹き飛ばす約100名が参加してくださり、急きょ会場を拡大しました。環境省担当官や登壇者と直接意見交換をしたり、会員同士でネットワーキングしたりできる場となり、予定時間を超過した熱気のあふれる交流会でした。
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年次総会ではJPRSIの活動が報告された |
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初の対面ネットワーキングの機会となった |
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