環境インフラ海外展開プラットフォーム(JPRSI)

技術リスト(JPRSI)

技術・サービス概要

バイオ炭とは、木質残渣、竹、もみ殻、家畜の排せつ物等を含む様々なバイオマスを原料に炭化され、農業に使用される炭のことであり、「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」(2019年改良IPCCガイドラインより)と定義されております。農業において、従来、バイオ炭は土壌改良資材として使用され、土壌の保水性向上・pH調整・窒素利用効率の向上等の効果が期待され、乾燥地やpHが低い土壌に対する有効性が高いとされております。近年ではバイオ炭の農地施用による土壌への炭素貯留効果も注目されております。バイオ炭の原料となる木材や竹等に含まれる炭素は、本来、土壌中の微生物の活動等により分解され、CO₂として大気中に放出されてしまいます。しかし、バイオ炭を土壌に施用することで、含有する難分解性炭素は生物分解されず、土壌に閉じ込める(炭素貯留)ことができ、大気中へ放出されるCO₂削減へ貢献することが可能です。そして、世界的に同様の活動を対象に炭素貯留量からCO₂排出削減量を算定し、削減量に応じたカーボンクレジットを国や民間の認証によって売買可能にする制度構築が進んでおります。カーボンクレジットとは、CO₂を含むGHGs排出削減量を企業間で売買可能にする仕組みのことを指しており、排出権取引ができる市場は国内外に存在し、投資家や非政府組織、消費者からの脱炭素に向けた意識が高まり、市場は拡大傾向にあります。例えば、もみ殻を原料としたバイオ炭1tを農地に施用した場合、約1.16t-CO₂の削減効果が期待されます。

目的

事業を通して、「バイオ炭」を用いた農家様の所得向上と温室効果ガス排出削減の両立し、農産廃棄物の有効利用を確立すること

特徴

● 炭素隔離
● N₂O削減
● 窒素溶脱低減
● 保水性
● 土壌生物性
● 土壌肥沃度
● 作物収量
● 浸食・風食対策 等

効果

【実例1】
ウガンダ共和国ルウェロ県ジロブエ市におけるトウモロコシに対するバイオ炭の施用実験。協働する鳥取大学農学部の教授による実施。同地域で発生する農業残渣である籾殻から作ったバイオ炭をトウモロコシ栽培圃場に施用。従来に比べ、(1) 収量が約20%増加、(2) 化学肥料の投入量が半減という成果が得られた。

【実例2】
千葉県八街市における落花生に対するバイオ炭の施用実験。同地域に所在する落花生の加工業者と連携して実施。同地域で発生する農業残渣である落花生から作ったバイオ炭を落花生栽培圃場に施用。従来に比べ、(1) 収量が約5%増加、(2) 化学肥料(K)の投入量が40%低減という成果が得られた。

規制対象物質

展開可能国

  • 日本
  • 東南アジア
  • アフリカ
  • アセアン諸国

    カンボジア

この技術が貢献するSDGs

  • 1. 貧困をなくそう
  • 3. すべての人に健康と福祉を
  • 13. 気候変動に具体的な対策を
  • 15. 陸の豊かさも守ろう
  • 17. パートナーシップで目標を達成しよう

バイオ炭