放射冷却素材 SPACECOOL
SPACECOOL株式会社
技術・サービス概要
SPACECOOLは、太陽光や大気からの熱をブロックし放射冷却の原理により宇宙に熱を捨てることで、ゼロエネルギーで外気温よりも温度低下することを可能にした新素材です。
放射冷却とは、暖められた地球の熱がマイナス270℃の宇宙空間へ赤外線の形で放射して気温低下する自然現象のことで、通常、日中は太陽光の入熱量が地表からの出熱量を上回るので放射冷却現象により冷えることは困難です。さらに、地表から放射された赤外線は大気に吸収・反射され宇宙空間まで抜けていかない波長のものも多く、地球上に熱が籠もる原因になります(=地球温暖化)。
一方でSPACECOOLは、独自の光学設計により、本素材が放射する赤外線を、宇宙まで抜けやすい「大気の窓*」の波長域へ光学制御することに成功し、効率良く放射冷却を起こすことで日中の冷却を可能にしました。
本素材を建物や屋外電気設備などの直射日光下にあるファシリティに適用することで、CO2を排出することなくそれらの温度上昇を抑制し、さらには空調エネルギーの削減をもたらすことできるためカーボンニュートラル実現に寄与できるほか、人の熱中症対策、労働生産性の向上などを見込むことが可能です。
*大気の窓とは:大気には、光をよく通す(透過率が高い)波長と光をよく吸収する(透過率が低い)波長が存在します。光エネルギーの形で熱を宇宙空間に輸送するには大気の透過率が高い波長が優れており、特に透明性が高い波長8-13μmの波長範囲を「大気の窓」と呼びます。
目的
建物や社会インフラにSPACECOOLを適用することで、温度上昇の抑制、空調エネルギーの削減につながり、カーボンニュートラル社会を実現します。
特徴
宇宙に熱を捨てることで直射日光下でもゼロエネルギーで外気温より冷却可能な、世界最高レベルの放射冷却素材。厚さ0.1mmに満たない薄くしなやかな光学シートで、独自の光学設計による多層構造を持ち、太陽光や大気からの熱をブロックし熱吸収を抑える遮熱機能(反射率95%以上)と、熱エネルギーを「大気の窓」の波長域の光エネルギーに変換し、宇宙空間に熱を捨てる放射冷却機能(放射率95%以上)を両立している。
効果
①分電盤の実証試験
分電盤は内部に電子機器を搭載しており、直射日光による内部温度の上昇で機器の劣化や故障に繋がるケースが多くあります。
従来は遮熱塗料や遮光板などで熱対策をしていましたが目立った効果は見られず、SPACECOOLを分電盤表面に施工したところ、従来手法と比較し8℃程度の内部温度低下を確認できました。
②空調室外機の導入事例
空調室外機は直射日光で暖められることで、温度上昇による電力負荷増加・稼働停止のリスクを持ちます。
SPACECOOLを施工することで空調室外機の表面温度が約7℃低下し、消費電力量が18%削減したと導入先からの報告をいただいております。
③建物屋上への導入事例
東京都交通局が所有する事業所の屋上約600㎡に、SPACECOOLを活用した防水シートを施工。
夏場の建物内の空調エネルギー削減効果を検証しています。
規制対象物質
参考資料
展開可能国
- 日本
- 東南アジア
- 中東
- 北米
- ヨーロッパ
- アセアン諸国
インドネシア,シンガポール,タイ,フィリピン,ベトナム,マレーシア
導入事例
日本国内ではEXPO2025のガスパビリオンを始め、建築物の屋根面での施工を展開。中東地域(サウジアラビア、UAE)や東南アジア(タイ)でも建築物等への大規模な活用が始まり、エネルギーを使わずに涼しく快適な空間創出を行っています。
視察可能な導入先
EXPO2025ガスパビリオン
この技術が貢献するSDGs
- 3. すべての人に健康と福祉を
- 7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 13. 気候変動に具体的な対策を