技術・サービス概要

「日本生命ネイチャー・ファイナンス・アプローチ」(以下「当アプローチ」)は、企業のさまざまな事業や取組みを自然の回復の観点で定量的に測定・評価する手法を提案し、実用的かつシンプルな指標を用いて整理しております。当アプローチでは、国際的場面で科学的基盤とされるものであり、地球環境において人類が安心して暮らせる状態の限界を示す『プラネタリーバウンダリー』を、各指標を設定する上での基本コンセプトに据えています。『プラネタリーバウンダリー』の9つの領域内の自然に関する領域である「生物圏の一体性」の二つの側面(生態系・生物種)を評価する以下3指標を提案しております。
① 「NPP(Net Primary Production)」
生物が生存・成長に利用するエネルギー(NPP)の測定により、プロジェクトによる生態系への影響を測定します。
② 「HANPP(Human Appropriation of global terrestrial Net Primary Production)」
人類によるNPP利用量(HANPP)の測定により、プロジェクトによる生態系への影響を測定します。
③ 「対象生物種の個体数(絶滅危惧種を含む)」
サイト内の主要な生物種の個体数の測定により、プロジェクトによる生物多様性への影響を測定します。
加えて、その他の環境・社会面で重大な負の影響を及ぼさないことを確認するDNSH(Do No Significant Harm)原則の考え方も採用しております。
なお、今回は最初のステップとして陸域植物(森林等)を対象としております。

目的

自然・生物多様性の損失は刻一刻と進んでおり、自然の回復に向けた資金動員と取組みを一層加速させることが急務となっています。そのため、当社は企業活動と自然の回復の関係性を可視化する土台を示し、新たな投融資活動を開始したいと考えました。そこで、自然の回復に向けた取組みの方向性やその影響度を可視化するための一つの考え方として当アプローチを策定しました。当アプローチを「バージョン1.0」として公開することで、政策・ビジネス・金融・学術の各分野を横断した議論を活性化する土壌形成に繋がり、国際的に広く受け入れられるネイチャー・ファイナンスの発展に貢献できれば幸いです。

特徴

当アプローチは、自然の状態を『プラネタリーバウンダリー』の境界内に収めることを究極的な目標とし、それに資する取組みへの投融資を「ネイチャー・ファイナンス」と捉えることを基本コンセプトに据えております。策定にあたっては、「地球規模目標に対して当該投融資がどの程度貢献しているかを定量的に測定できること」や「企業や金融機関が具体的な行動を起こせるよう、科学的な妥当性と正当性を備えつつも実用的かつシンプルな指標(NPP等)へ整理すること」を重視しております。また、HANPP(人間が利用するNPPの量)の低減を概念に入れることによって、幅広いセクターの取組みを包含することを可能にしております。当アプローチでは、対象事業によってわずかでもHANPP減少、NPP増加、生物種の個体数増加が実現すれば、ネイチャー・ファイナンスとして適格と捉えることで、企業のネイチャーポジティブに向けた取組みを後押しします。加えて、その他の環境・社会面で重大な負の影響を及ぼさないことを確認するDNSH(Do No Significant Harm)原則に基づき、リスク面もカバーしております。

効果

本アプローチの導入により、企業は自社事業の自然回復への貢献度を定量的に把握しやすくなり、事業改革や新規事業創出、社内資源配分等の検討が促進され、自然回復に資する活動が広げやすくなると想定しております。また、投資家や金融機関との対話の幅や質の向上により、資金の流れが自然回復に向けて加速すると考えられる他、国際的な目標への貢献度を示すための情報開示の面において、NPPやHANPPを用いることにより、シンプルかつ意義ある開示が可能となります。

規制対象物質

展開可能国

  • 日本
  • 東南アジア
  • 中央、南アジア
  • 中国、東アジア
  • 中東
  • アフリカ
  • オセアニア
  • 北米
  • ヨーロッパ
  • 中南米
  • アセアン諸国

    インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス

この技術が貢献するSDGs

  • 15. 陸の豊かさも守ろう

日本生命ネイチャー・ファイナンス・アプローチ