活動記事:セミナーレポート
2024年度 第1回JPRSIセミナー
「企業・自治体向け海外セミナー
‐脱炭素・環境ビジネスを地域から世界へ‐」
イベント名 | 2024年度 第1回JPRSIセミナー 「企業・自治体向け海外セミナー‐脱炭素・環境ビジネスを地域から世界へ」 |
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開催日 | 2024年6月11日 13時半~15時 |
開催方法 | オンライン |
概要 | 環境省では都市間連携事業、二国間クレジット制度(JCM)を通じて日本企業の海外展開を後押しすると共に、環境インフラの海外展開に取り組む本邦企業や自治体等を後押しするためにJPRSIを設立し、多岐にわたる活動を実施してきています。今回のセミナーでは、より多くの地方企業が自治体や関係機関と連携して環境技術を海外展開していくことを目指し、地域脱炭素の国際展開事例や海外展開のノウハウを共有しました。 セミナー登壇者情報については、下記「関連資料」ページをご覧ください。 |
関連資料 | https://jprsi.go.jp/ja/static/activity-archive/2024/r6_seminar1_report |
イベントの様子ⅰ
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環境省がグローバルサウスの環境ニーズを解説 |
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横浜市はY-PORT事業を紹介 |
グローバルサウスにおける環境インフラ展開を取り巻く状況
環境省地球環境審議官の冒頭挨拶に続き、環境省担当官より、第10回太平洋島サミットが7月に開催、来年はTICAD9が開催される等、グローバルサウスとの協力のモメンタムが高まる中、海外インフラシステム展開戦略の新戦略・骨子案が策定されたことが紹介されました。気候変動に対する資金・投資が拡大し、環境分野の市場成長が予想されており、特に脱炭素と他社会課題の同時解決(シナジー)が重要になることが説明され、環境省の環境インフラ海外展開支援策として、都市間連携事業・JPRSI・JCMが紹介されました。
自治体・企業からの取組紹介
環境インフラの海外展開事例として、自治体及び企業より取組の紹介が行われました。
公民連携によるインフラビジネス推進の取組【横浜市】
横浜市は、これまでの上下水の整備や廃棄物削減等、高度成長期の人口増加に対応するインフラ整備の経験から蓄積した強みをパッケージ化して海外都市へ応用するため、公民連携によるインフラビジネス推進のためのプラットフォームとしてY-PORTを設立しました。資金面で環境省・JICA・JBIC等からの支援を受け、Y-PORTは①都市間連携、②企業連携、③国際発信(年に1回の「アジア・スマートシティ会議」の開催)を実施し、海外の都市課題解消及びインフラビジネス支援を行っていることが紹介されました。
フィリピン共和国セブ州 コンソラシオン市における廃プラスチックのリサイクル
【株式会社グーン】
フィリピン・セブにて廃プラスチックからのフラフ燃料製造、及びごみ処理に関するコンサルティングを取組中であることが紹介されました。Y-PORT事業の一環でセブ訪問に参加したことをきっかけに、JICAの案件化調査と普及実証事業におけるパイロットプロジェクトを実施したこと、さらに2017年に環境省の途上国向け低炭素技術イノベーション事業に採択されたことで商業規模に拡大することができたとの説明がありました。また、合弁会社設立後には、プラスチックのリサイクルをフィリピンの他地域へ水平展開することに加え、自治体の埋立処分場ひっ迫問題改善への協力、人材育成、及び食品残渣廃棄物のリサイクルに取り組む予定であることも紹介されました。
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愛媛県は推進する海外展開支援を紹介 |
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(株)愛研化工機による事例紹介 |
愛媛県における県内企業の海外展開支援【愛媛県】
県内にさまざまな特徴を有した工業集積が形成されている点を強みに、「『スゴ技』データベース」(技術カタログ)を活用した国内外への販路開拓支援を実施していることが紹介されました。国内市場縮小を見越し、県内企業の海外市場開拓を「オール愛媛」体制で全力で後押し中であることが説明されました。海外との経済交流の方針として、①海外地方政府との「Local to Local」の連携関係構築、現地課題や企業ニーズ等の発掘、及び現地企業への技術提案や県内企業とのマッチング等の実施を行ったうえで、②愛媛県が強みを持つ環境分野や農業・水産業分野を中心に県内企業の優れた技術等を活用した現地課題の解消を図るといった一連の流れを、「愛媛スタイル」として確立していることが説明されました。環境省の都市間連携事業は「愛媛スタイル」の強力な推進力となっているそうです。
創&省エネ型排水処理技術を用いた海外での取組事例【株式会社愛研化工機】
廃水規制が世界的にも厳しい愛媛県で培った技術を生かし、工場廃水からのエネルギー回収等を中心に事業展開しており、海外はNEDOやJICAの支援も活用しながら東南アジアを中心に取組を進めているとの説明がありました。具体的事例として、「インドネシア国パーム油工場での排水対策事業」、愛媛県とゴロンタロ州の「都市間連携事業」の参画企業としてココナッツ工場や製糖工場への提案、今治タオルの技術実証をもとにした「染色繊維工場向け排水処理対策事業」が紹介されました。
特定非営利活動法人・国際社会貢献センター(ABIC)の紹介【ABIC】
商社をはじめとする企業のOB・OG約3,000人が活動会員として登録されているユニークな人材バンクであり、人材ニーズと活動会員のスキルをマッチングする活動を行っていることが紹介されました(https://www.abic.or.jp/)。ABICは社会貢献を目的とする非営利団体であるためコストが低いことも特徴だそうです。地方自治体などを通じた中小企業への支援内容は、海外進出や、商談通訳・アテンド、海外赴任者研修等、多岐にわたるとの説明があり、支援活用にむけた相談を受け付けている旨も紹介されました。
質疑応答より
質疑応答では、日本の自治体と連携したこうした海外展開において、自治体からは具体的にどのような支援が受けられたのか、特に、資金的な支援も期待できるのかどうか、といった熱心な質問がありました。国際的な開発金融機関を通じた資金調達の可能性等についてはJPRSIでもいろいろご紹介しています。
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