活動記事:セミナーレポート

2024年度 第4回JPRSIセミナー
「官民連携による早期警戒システムの海外展開について」

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イベント名 2024年度 第4回JPRSIセミナー
「官民連携による早期警戒システムの海外展開について」
開催日 2024年11月6日 15時~16時30分
開催方法 オンライン
概要 気候変動の影響により自然災害が激甚化し、早期警戒システム(EWS: Early Warning System)の必要性が国際的に高まる中、環境省のEWSシステム導入促進イニシアティブやEWS協議会の設立経緯と活動内容が説明され、民間事業者による海外展開の事例、今後の協業の可能性等が紹介されました。
約80名の参加者との間で活発な質疑応答も行われ、官民連携の可能性について理解を深めました。
セミナー登壇者情報については、下記「関連資料」ページをご覧ください。
関連資料 https://jprsi.go.jp/ja/static/activity-archive/2024/r6_seminar4_report

イベントの様子

オンライン登壇中の環境省適応室担当官

参加者から多くの質問が寄せられた

開会挨拶

環境省より、気候変動への適応策が国際的にも重要なテーマとなり、COP29でも主要議題となっていることが説明され、本日のセミナーでは、その中でも注目される「早期警戒システム(EWS: Early Warning System)」の実装に向けた取組・事例について紹介する旨が述べられました。

EWS協議会の背景と目的
(世界や日本の動向も含めたEWS協議会立ち上げの背景や目的)

気候変動対策においては、「緩和」と「適応」が「車の両輪」であるとの基本方針のもと、EWSの必要性が強調され、とりわけアジア太平洋地域において、台風・洪水・熱波などの激甚化が進む中で、EWSの導入とそれを活用したビジネス展開を促進するための構想が示されました。民間企業・自治体の役割や、気候リスクをチャンスに変える「戦略的適応ベネフィット」や、「アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム導入促進イニシアティブ」(EWS官民連携イニシアティブ)の構想とそれぞれの目的が説明されました。

令和5年度と令和6年度のEWS協議会の活動

EWS官民連携イニシアティブを推進するため、関係者間で必要な協議等を行うための「早期警戒システム導入促進に係る国際貢献に関する官民連携協議会」(EWS協議会)が設立されたことが紹介されました。また、具体的な活動内容として、SNSやAI技術を活用した災害情報提供サービスのASEAN市場展開と、タイにおけるビジネスモデルの概念実証の取組が紹介されました。さらに、EWS協議会ではウェブサイトを構築しており、参画事業者や成果物、活動内容を広く公開していることも紹介されました。
EWSは公共性が高い一方で、B-to-Gモデル(地方政府・自治体向け)とB-to-Cモデル(市民向け)を組み合わせた形で事業化を進めていることが説明されました。

EWS協議会に参画する有志企業による海外展開への取組事例等

EWS協議会に参画する民間企業より、それぞれの技術を活用した海外でのEWS展開事例が発表されました。臨場感ある現地での実例や課題感の共有に、参加者からは多くの反応が寄せられました。

エアロセンス株式会社

災害対応や平時のインフラ点検に活用できるドローン「eVTOL機」によるモニタリングサービスについて、国内外の活用事例とともに紹介されました。国内では災害現場の状況を素早く正確に把握する事例、土木事業の監視や道路点検、海外ではマレーシアでのマングローブ保全監視の活用事例などが紹介されました。

株式会社Spectee

SNSや各種データをもとに災害リスクを即時に可視化する災害情報サービスについて、フィリピンにおけるJICAの実証事業が紹介されました。同社の災害情報サービス「SpecteePro」は、現在は無償提供して体感してもらっているところ、2026年からの有償提供を見据えているとの事業構想が共有されました。

スイス再保険会社日本支店

再保険とは何かとの説明に続き、同社の自然災害リスク分析ツール「CatNet Premium / API」が紹介されました。衛星などの最新技術を活用した情報に対するAIによる機械学習や独自のモデル分析を活用した信頼度の高いハザードマップの提供や、生物多様性と生態系の分析が可能なサービスについて紹介されました。

全体質疑

全体質疑では、EWSの導入スキーム、参画方法、支援制度の有無、SNS利用における版権の問題、現地パートナー選定方法等に関する質問が多数寄せられました。
公共性の高いEWSに対するビジネスモデルとしての可能性について質問があげられ、登壇者からはタイ・ベトナムにおけるB-to-G、気象情報サービスのB-to-Cの展開可能性が共有されました。
SNSデータの活用に関しては、各国における版権の問題について質問があげられ、Spectee社からは公開された情報を扱っているため問題ないことが説明されました。さらに、海外での現地パートナー企業の探し方についても実例が共有され、EWS分野での今後の海外展開を視野に入れる参加者にとって大きなヒントとなりました。


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