タイは、日本の1.4倍の国土面積に、約7千万人が暮らしている。政府は元来、鉄道より道路整備を優先し、一般市民の移動や貨物の輸送経路として重要なインフラである一方、幹線道路の渋滞が課題となっている。港湾はチャオプラヤー川沿いに、バンコク港など、全43ヵ所あり、タイの輸出産業を支えている。バンコク一極集中を緩和させる「東部経済回廊(EEC)」やチェンマイ、プーケットといった地方都市でも交通インフラ整備の議論が高まっている。さらに駅至近での不動産・商業施設開発も活性化され、新たな事業機会が生まれる土壌ができつつある。同国の深刻な課題である地域格差に対抗して、政府は南部経済回廊(SEC)の計画を掲げた。観光やヘルスケア、農業振興やベンガル湾他分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)諸国向けの貿易拠点として構想している。
バンコク | バンコク都は、タイの首都でタイ最大の経済都市である。バンコク首都圏における名目GDP構成比は46.4%(2017年)であり、タイのGDPの約半分が集中している。人口は568万人(2018年、内務省)となり、都市化による人口増加により交通インフラ等のインフラ整備を進めるとともに、顕在化する大気汚染や水質汚濁、廃棄物に代表される環境課題に対処するとともに、バンコク都気候変動マスタープラン策定や電力開発計画を策定・実施している。また、2013年1月には、環境分野を含む分野横断の6つのビジョンで構成される2032年までの長期開発計画(Bangkok Vision 2032)を策定し、取り組みを進めている。 |
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チェンマイ | チェンマイ県は、タイの首都バンコクから北に700 kmに位置し、古い歴史と伝統・文化を有するタイ第二の都市である。タイ北部の中核都市(行政、経済、産業、文化の中心地)と呼ばれる。気候変動分野における首長の明確な方針は未確認だが、交通分野が温室効果ガスの大きな排出源(チェンマイ市からのCO2排出量の26%を占める)であることから、低炭素型の交通政策の検討を進めている。 |
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